心臓リハビリテーションのまにまに

心臓リハビリテーションについて考えたり思ったりしていることをつらつらと書いています。

心負荷の高い活動を判別し過活動を避けるための考え方

こんにちは、心リハ太郎です。

 

心負荷の高い活動がどんな活動かということを今まで考えたことはありますか?

 

山登りや階段?重いものを運ぶ?

確かにその通りです。

 

しかし、このような代表的な活動だけでなく、それ以外の日常生活活動が心臓に負担をかけているのかを患者さんの生活に即して考えなくてはいけない場合がありますよね。

 

代表的な身体活動を覚えるだけでなく、考え方のポイントを掴めば応用的に考えられるようになります。

今回はそのポイントを説明します。

心負荷=心仕事量の理論式

心負荷とは心筋の仕事量(心仕事量)のことです。

心仕事量は簡単な式であらわされます。

心仕事量 = 収縮期血圧 × 心拍数

この心仕事量のことをダブルプロダクト(double product: 二重積)とも言います。

 

道を歩く時の坂の勾配が収縮期血圧歩行速度が心拍数と考えると分かりやすいでしょう。

坂道がきついほど、また歩行速度が速いほどきつい運動になります。

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血圧が高く心拍数が高いほど心臓にとってはきついということです。

血圧が上がりやすい活動

血圧が上がりやすいのは、筋肉に動きはないけど力が入り続ける活動です。

このような筋肉の使い方を等尺性収縮といいます。

例えば

  • 腕で重い荷物をもつ
  • しゃがんだ状態や中腰の姿勢を維持する

などの活動です。

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この時に息を止めるとさらに血圧が上がりやすくなることが知られていますね。

これをバルサルバ負荷といいます。

心拍数が上がりやすい活動

心拍数が上がりやすい活動は、歩く、腕を動かし続けるなど、しばらく続けていると息がハアハアとしてくるようなリズミカルな活動です。

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窓拭き、床の雑巾がけ、モップがけなどの腕を使った家事活動もここに含まれます。

特に心負荷がかかる活動

心負荷がかかりやすい活動、すなわち収縮期血圧と心拍数が同時に上がりダブルプロダクトが高くなる活動とは、静的な筋収縮と動的な動きが同時に行われる活動です。

 

よく言われるのは

  • 重いものを持ちながら歩く
  • しゃがんで床を拭く

などですが、コツをつかめばどれだけでも応用が効きます。

 

要するに腕に力が入り続けつつ足を動かすパターン足に力が入り続けつつ腕を動かすパターンを考えれば良いのです。

こんな風に考えると

  • 草むしり
  • 風呂の床掃除
  • 中腰の姿勢での掃除
  • 高いところの電球を替える
  • スキー
  • 戸棚の下の方の片付け
  • 腰を落としての正拳突き

など色々と応用が利きますね。

 

他にも身体に力を入れながら手を動かす動作などが挙げられます。不安定な姿勢を維持するために腹筋や背筋に力が入り続ける場合がここに当てはまります。

例えば

  • 無理な体勢で手を伸ばして押入れの中のものを探す
  • 田植えをする
  • 鮎釣りなど川に入って流されないようにしながら腕を動かす

など、こちらも色々なパターンが考えられますね。

 

心不全患者さんの場合、家事や生活動作であっても、心負荷が高まりやすい方法で活動を長時間行うとそれだけで心不全が増悪することがあります。

 

そういう方の過活動のチェックは、単に嫌気性代謝閾値(AT)を超えていないかをメッツ表で確認するだけでなく、上に書いたような考え方を元に、心負荷の上がりやすいパターンで日常生活動作や仕事などを行なっていないかを聞き取るとよいでしょう。

心負荷を減らすポイント

実際に心負荷を下げるための工夫の仕方についてですが、心拍数が上がるのを避けるか、血圧が上がるのを避けるかのどちらかで心負荷は減らせます

例えば草むしりを膝をついて行うなど体勢を変えて動作を行うよう指導したり、柄のついたブラシなどの道具を使ってしゃがんだり中腰になることを避けるよう工夫してもらうなど、色々な方法で負荷量を落とすことができます。

実際にリハビリ室で家と同じ動作をしてもらって心拍数と血圧を測ってみるのも一手です。

このときはモニター心電図で活動中の心拍数を測ることを忘れずに。

活動後に血圧計で脈拍を測っても、その時には既に心拍数が元に戻ってしまっていることが多いです。

またモニター心電図の心拍数を見ながら、動作中の心拍数を減らすような動き方を患者さんと一緒に工夫してみるとより実用的かもしれません。

この辺りの工夫については理学療法士作業療法士(特に作業療法士)などセラピストの得意とするところですから、看護師さんなどであればどういう工夫の仕方があるかセラピストに相談して一緒に考えてもらうとよいでしょう。

また不安定な姿勢で何かを行うことは、想像以上に心負荷がかかる可能性がありますので、体勢を安定させるように指導するのもよいかもしれませんね。

 

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 ではでは。

 

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